区分所有建物と財産管理10

今回も本ブログをご覧いただき、ありがとうございます。

 

弁護士・税理士の鳥光でございます。

 

今回は、相続人不存在のために空き家となった区分所有建物の、残置物の管理についてです。

 

区分所有建物に住んでいた被相続人の残置物が、バルコニーや廊下にもある場合には、早急に処分をするか、建物内部に収容する必要があります。

 

戸建て住宅と異なり、区分所有建物の場合、バルコニーや廊下は共用部分であるためです。

 

廊下が共用部分であるということは感覚的にも理解しやすいと思いますが、バルコニーも共用部分であるという点も理解しておく必要があります。

 

バルコニーは、区分所有建物の所有者や居住者しか使えないという権利(専用使用権)が設定されていますが、一方で他の住人の避難経路にもなっています。
隣との境が、薄く強度の低い壁で仕切られてるのはそのためです。
そのため、通常は避難の妨げになる物を置くことが禁止されています。

 

廊下やバルコニーに残置物が存在している場合の対処法としても、相続財産清算人選任申立ては有効であると考えられます。

 

なお、私が管理した区分所有建物は、たまたま申立人の方が被相続人の成年後見人であったため、被相続人が施設に入るタイミングで生前に残置物は処分されていました。

区分所有建物と財産管理9

本日もブログをご覧いただき、ありがとうございます。

 

弁護士・税理士の鳥光です。

 

今回は、相続財産清算人選任の申立てを行うことができる方についてです。

 

民法952条第1項によれば、「利害関係人又は検察官の請求によって」相続財産清算人は選任されます。

 

また、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法第42条第1項により、「国の行政機関の長又は地方公共団体の長」も「所有者不明土地につき、その適切な管理のため特に必要があると認めるときは」相続財産清算人の選任申立てができます。

 

民法952条第1項の「利害関係人」には、事務管理者、成年後見人であった者、相続債権者、特別縁故者であると主張する者などが挙げられます。

 

区分所有建物が相続人不存在となり、滞納されていた管理費・修繕積立金の回収が必要な場合には、管理組合は利害関係人となるため、相続財産清算人選任申立てができます。

 

現在、マンションには2つの老い、すなわちマンションの築年数が大きくなり、かつ居住者(組合員)が高齢化が進んでいます。

 

居住者の高齢化により、相続が発生する可能性が高まります。
もし区分所有建物が相続人不存在となってしまうと、相続財産清算人が選任されるまで管理をすることができなくなってしまいます。

 

すでに都市部においては、空き家となっている区分所有建物が多くなっています。
そのすべてが相続人不存在というわけではありませんが、一部は相続人不存在になっていると考えられます。
ちなみに私が管理した区分所有建物は、もともと推定相続人がいない方がお亡くなりなったことにより相続人不存在となりました。

 

今後、管理組合による相続財産清算人選任申立てがしやすいような政策も必要になるかもしれません。