区分所有建物と財産管理6

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弁護士・税理士の鳥光でございます。

 

今回は、区分所有建物の現地調査の第一歩となる、玄関の開錠についてです。

 

相続財産清算人選任の申立人から、被相続人の自宅の鍵の引継ぎがなかった場合には、鍵の専門業者の方に依頼して玄関を開錠する必要があります。

 

私がかつて管理した被相続人の自宅は、いずれも玄関の鍵がありませんでした。
自治体が空き家管理のために申し立てをしたものでしたので、生前の被相続人とのつながりはないため、玄関の鍵に限らず被相続人の財産に関するものはほとんど引継ぎがない状態でした。
そのため、玄関の鍵を開錠したうえで、鍵交換をしました。

 

幸い、私が管理した区分所有建物については、被相続人の成年後見人が相続財産清算人の選任申立てをしたケースでしたので、玄関の鍵を含め被相続人の財産関連の物品一式を引き継ぐことができました。

 

もっとも、仮に玄関の鍵がなく、開錠したうえで鍵交換が必要になる場合、区分所有建物特有の注意点があります。

 

区分所有建物においては、一般的に玄関扉自体は共有部分、内側の塗装部分は専有部分、錠も専有部分になります。
錠が専有部分であれば、相続財産清算人側で鍵交換が可能であると考えられますが、前もって管理規約を確認し、錠が専有部分であることを確認するべきです。

 

例えば、国土交通省のウェブサイトで公開されている単棟型の標準管理規約第7条第2項第2号においては、錠は専有部分とされています。

 

参考リンク:マンション標準管理規約(単棟型)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001746766.pdf

区分所有建物と財産管理5

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弁護士・税理士の鳥光でございます。

 

今回は、相続財産清算人が区分所有建物の管理をする際における、管理組合の総会の扱いについてです。

 

相続財産清算人に選任された時期によっては、売却するまでの間に管理組合の総会が実施されることがあります。

 

予め管理組合(またはその委託を受けている管理会社)に相続財産清算人の連絡先を伝えておくことで、総会に関する情報を提供してもらえることもあります。

 

管理組合総会では、区分所有建物の管理運営に必要な事項の決議を行います。
これは区分所有建物ではない不動産にはない特徴です。
具体的には、共用部分の変更や規約の変更、建て替え決議などが挙げられます。

 

議決権については、相続財産に属している区分所有建物の代表権者として、相続財産清算人が行使できると考えられますが、決議の内容によっては権限の範囲外となる可能性もあります。
そのため、議決権を行使する際には、事前に裁判所に確認をする必要があります。

 

また、総会用の資料として、大規模修繕計画に関する資料や、規約の変更案などが提供されることもあります。
これらはしっかりと保管し、売却時の物件情報の補足資料としても用いることができます。