空き家活用の話16

本日も本ブログにアクセスいただき、ありがとうございます。

 

弁護士・税理士の鳥光でございます。

 

職業柄、通勤以外の場面においても、電車で移動することがしばしばあります。

 

都心部以外を走行している際、特に住宅の多い地域で窓の外を眺めていると、空き家なのではないかと推察される建物が見えることがあります。

 

そのような建物が駅の近くにあることもあり、仮に本当に空き家であったとすると、個人的にはもったいなさを感じることもあります。

 

経験上、次のような特徴がある建物は、空き家である可能性があります(もちろん、何らかの事情を抱えた方がお住まいの可能性もあります)。

 

①ツタや草木が建物や敷地内で伸び放題になっている

②塀や窓が破損している、金属製の外壁がボロボロに腐食している

③常に雨戸が閉まっている、玄関ドアが板などで塞がれている

 

①は、個人的にはもっとも典型的な特徴であると考えております。

 
特に、玄関を草木が覆いつくしている場合、出入りが長年なされていないということになります。

 

②については、住人がいるものの単に修理ができない事情があるということも考えられますが、住居の機能を著しく損なった状態のままであるのは、住居として使用されていない可能性があります。

 

③については少し特殊ですが、近隣の方が当該建物が空き家であることを知っていて、防犯のために外側から雨戸を閉めたり玄関ドアを塞いだりしたという可能性があります。

 
実際、私が管理した空き家のひとつは、玄関ドアが施錠されていない状態であったので、釘で打ち付けられていました。

 
おそらく最後の住人の方が、施錠をしないままお亡くなりになり、そのことを知った近隣の方がご厚意で防犯のために玄関ドアをふさいでくれたのだと思います。

空き家活用の話15

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弁護士・税理士の鳥光でございます。

 

住宅不足の解消策として、京都市では空き家税(正確には「非居住住宅利活用促進税」)を導入する予定です。

 

https://www3.nhk.or.jp/news/contents/ohabiz/articles/2023_0412.html

(リンクは公開時点のもの。リンク切れの際はご容赦ください。)

 

京都市内では現在、特に市の中心部において住宅の価格が高騰し、住宅の手配ができない世代がやむを得ず市外に流出しているという問題があるとのことです。

 

一方、京都市内には10万軒以上の空き家があります。

 

そこで、空き家に対して課税をすることで、空き家を売却したり賃貸したりする動機づけをし、これまで住宅の購入等が難しかった方が住宅を手配できるようにして人口流出を抑えるというのが空き家税の狙いです。

 

ここからは私見ですが、特に人口の多い地域で空き家が増えてしまうと、住宅不足と住宅価格の高騰を引き起こすと考えております。

 

空き家は、存在している限り、その敷地を他の方が利用することができません。

 

そして、空き家が増えれば増えるほど、宅地として使用できる土地は減っていきます。

 

その結果、物理的に住宅が不足していくとともに、宅地の希少価値が上がり、住宅の価格が高騰してしまうことになります。

 

すでに相続人が不存在となってしまった空き家については、家庭裁判所を通じた手続きにより清算をしない限り流通させることはできませんが、まだ所有者が存在している空き家については、所有者の意思により流通させることができます。

 

家を売るということに対する精神的な障壁は決して低いものではなく、課税という手段が本当に適切かという観点もあります。

 
もっとも、空き家の所有者に、空き家の売却等を強く動機づける手段が他にあるかというと、それもすぐに思いつくものではありません。

 

京都市以外にも、空き家が多数存在する自治体はあります。

 
今後、各自治体が空き家に対してどのような対策を講じていくのか、とても興味深いところです。