空き家活用の話14

本ブログをご覧いただき、ありがとうございます。

 

弁護士・税理士の鳥光でございます。

 

東京近郊のベッドタウンを散策すると、空き家になっていると思しき家屋を時折見かけます。
(職業柄、勘が鋭くなっています笑)

 

明らかに樹木が覆い茂っていて一切管理されていない状態の家屋もあれば、親族や近所の方が手入れをしていてきれいな状態が保たれている家屋もあります。

 

そして、あくまでも客観的なデータ調査等はしていない、主観的な話ではあるのですが、ここ最近、東京近郊のベッドタウンにある空き家が処分され、新たな家が建てられていく傾向にあると感じております。

 

私が昔から知っている、少なくとも10年以上は放置されていて、見るからに老朽化が進んで危険な状態であった家屋も(しかも、近隣の方の話によれば、持ち主はすぐ近くにお住まいとのこと)、今年に入って大手の不動産業者が買い取り、解体されて更地になりました。

 

背景のひとつには、コロナ禍によってリモートワークが普及したことがあるのではないかと思っています。

 

コロナ禍の前は、職住近接など都心に住む価値観が優勢で、東京近郊のベッドタウンは廃れていく様相を呈していました。

 
私自身も数年前までは東京の中心に近い場所に住んでいましたし、実家のあるベッドタウンはバスの本数やゴミ回収の回数が減るなどしていました。

 

ところが、コロナ禍後は、フルリモートの業務形態を設ける企業なども現れ、通勤の負荷などが問題にならなくなったことから、多少都心から遠くても安くて良い住環境が得られるベッドタウンに住居を構えたいという方が増えたのではないかと思います。

 

実家の近所においても、つい最近、駐車場であった土地をデベロッパーが買い取り、小さく分割されて複数の分譲住宅が建設されたりしています。

 

少し前までは、ベッドタウンの家は、相続時にはいわゆる「負」動産になるという風潮がありましたが、思わぬところで(土地の)価値が上がり、価値のある財産になってきたのかもしれません。

空き家活用の話13

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弁護士・税理士の鳥光でございます。

 

今回は、空き家の管理や処分をする際に、現場レベルで問題となる、残置物についてお話しします。

 

残置物とは、家屋の中に残されている物の総称です。

 

代表的なものとしては、机やいす、ベッド、テレビ、冷蔵庫、タンスなどの家財道具や、着古した衣類などが挙げられます。

 

残置物が空き家管理や処分に及ぼす影響としては、次の2点が考えられます。

 


財産に関する資料や価値のある財産を調査する作業の負荷が上がる。

 


処分費用がかかる(残置物込みで現状有姿で売却した場合には、処分費用相当額の値引きがなされる)。

 

1については、通常の生活相応の量の家財道具であれば、あまり大きな問題にはなりません。

 
問題になるのは、何らかのご事情によって多量の物品や廃棄物が家屋内に溜め込まれてしまったまま(いわゆるゴミ屋敷状態)、持ち主がお亡くなりになられたというケースです。

 
このような場合、家屋内部の捜索に要する労力はとても大きなものになります。

 
また、物が倒れてきたり、粉塵を吸い込むといった危険性もあるので、これらを回避するための準備も大切です。

 
食品など、腐敗する可能性のあるもの(またはすでに腐敗しているもの)は、放置すると汚損が進んでしまうので、すぐに回収して処分する必要があります。

 
実際私は、ゴミの山の中から、お亡くなりになられた方の預貯金や現金を発見し、管理対象としたこともあります。

 

2については、管理をする人が自力で処分することができれば、費用は相当抑えられますが、現実には難しいこともあります。

 
実際には廃棄物回収の専門業者へ依頼することになると考えられますが、その場合は数十万円の費用がかかります。

 
空き家を改修して住んだり、貸したりする意思がなく、売却する場合には残置物を残したまま現状有姿で買い取ってもらうという方法もあります。

 
この場合、残置物の処理は買主側が行うことになるので、費用負担も買主になります。

 
売却価格は、残置物の処分費用を差し引いたものになりますので、土地の価値や家屋の再利用の可否などの諸条件によっては、売却価格はとても低くなる可能性があります。

 
私が管理していた空き家においても、家屋内には多量の残置物があり、土地の面積は小さく、家屋も取り壊すしかないほど老朽化していたため、東京近郊ではありましたが、売却価格は50万円程度となったケースもあります。
(それでも引き取ってもらえただけ助かりました)