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弁護士・税理士の鳥光でございます。
今回は、所有者不在・所有者不明の空き家に関して、法律的な観点のレベルではないのですが、問題意識のレベルで感じることについて述べます。
相続人が不存在になってしまった空き家や、所有者が不存在または連絡が取れない空き家を再び流通させることができる制度として、相続財産清算人や不在者財産管理人、所有者不明土地管理制度があります(所有者不明土地管理制度の場合、土地とその上の建物が対象)。
これらの制度においては、空き家やその敷地の活用の観点からは、現状2つのハードルが存在すると思っております。
1つめは、空き家やその敷地を買いたいだけの方は、申立権者になれないという点です。
空き家やその敷地から、何らかの侵害を受けている隣地所有者など、法的な請求権を有している方であれば申立ては可能と考えられますが、そうでない場合には現状として申立ては難しいといえます。
また、仮に空き家やその敷地を買いたい方が申立てをして、清算人や管理人が選任されたとしても、必ずしもその申立てた方に売り渡すことができるとは限りません。
不動産の売却は裁判所の許可を得る必要があるため、他により良い条件で買い受けるという方がいる場合、一般論としては、そちらに売り渡すことになってしまいます。
住宅地などの場合、空き家が存在している土地の隣地所有者が、当該土地の買受けを希望することがあります。
このような場合、実務上は、いったん専門業者の方に現状有姿、境界確定なし、契約不適合責任免除の条件で買い取ってもらい、この専門業者の方が諸問題を片付けた後で隣地所有者の方に買い取ってもらうという形になることもあります。
(ボロボロの空き家が存在し、塀なども壊れている土地建物の場合、専門業者でない方に契約不適合責任免除で売却するのは、現実的には難しいです)
2つめは、予納金が高額になる可能性があるという点です。
相続財産清算人選任の申立ての場合、被相続人の財産状況によっては、裁判所の裁量で予納金の減額がなされることもありますが、一律で100万円としている裁判所もあるともいわれています。
所有者不明土地管理制度の方の予納金は、相続財産清算人選任申立てに比べると低めになるとは聞いてはおりますが、まだ始まったばかりの制度ですので、相場が固まっていないというのが現状であると考えられます。
予納金を何らかの形で手当てすることで、申立人の負担を軽減するスキームを組むことができるのが望ましいと思っています。
思い付きのレベルですが、空き家やその敷地を買いたい方が、申立権者に予納金等を出資して相続財産清算人選任申立てをし、その後空き家やその敷地を買いたい方が当該不動産を買い受ける、というような仕組みがあったらな、と思います。