相続税10

今日も本ブログをご覧いただき、ありがとうございます。

 

弁護士・税理士の鳥光でございます。

 

今回は、相続税申告における、未成年者控除について説明します。

 

未成年者控除とは、相続人が未成年者である場合に、その未成年者の相続税額から一定の額を控除できるという制度です。

 

未成年者が成人に達するまでの養育費や教育費等を考慮し、税負担を軽減するという趣旨により設けられた制度です。

 

障害者控除と同じく、課税価格ではなく、相続税額から控除できるという点がポイントで、未成年者の年齢によっては、大きな相続税の軽減効果があります。

 

相続税額から控除される額は、18歳から相続開始時の年齢(1年未満の端数は切り捨て)を差し引いた数値に10万円を乗じた金額です。

 

未成年者控除が受けられる人は、次のすべてに当てはまる人です。

 


相続財産を取得した人が法定相続人であること(相続放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合の相続人)

 


相続開始日に未成年者であること

 


無制限納税義務者であること。

 

そして、未成年者の相続税額が未成年者控除額より少ない場合には、控除不足額が生じます。
その場合には、不足額は、扶養義務者の相続税額から控除して納付することができます。

相続税9

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相続税申告に関する、今回のテーマは、相続人に障害者がいる場合についてです。

 

相続人が障害者である場合、障害者控除が適用されることがあります。

 

障害者控除とは、相続人が85歳未満で障害者のときは、その障害者が満85歳になるまでの年数1年につき、10万円(特別障害者の場合20万円)で計算した額を相続税の額から控除できると言う制度です。

 
年数の計算にあたっては、1年未満の期間がある場合は、切り上げて1年として計算します。

 

相続財産の評価額からではなく、相続税の額から控除できるという点がポイントであり、大きな相続税の軽減効果があります。

 

障害者控除をうけることができるのは、以下のすべてに当てはまる人です。

 

1 相続財産を取得した時点で日本国内に住所があること

 

2 相続財産を取得した時点で障害者であること
上述のとおり、一般障害者と特別障害者で、控除額が変わります。
一般障害者は、身体障害者手帳上の障害等級3級~6級、精神障害者保健福祉手帳上の障害等級2級または3級、のいずれかです。
特別障害者は、身体障害者手帳上の障害等級が1級または2級、精神障害者保健福祉手帳上の障害等級が1級、のいずれかです。
相続税申告時に、疎明資料として、これらの手帳等の写しを税務署に提出します。

 

3 相続財産を取得した人が法定相続人であること

相続税8

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今回は、通常の遺産分割協議を行った場合の、相続税申告の際に用いる戸籍、法定相続情報一覧図についてです。

 

まず、戸籍についてです。

 

相続税は、相続が発生した場合に課される税ですので、被相続人が死亡したことを示すため、被相続人の死亡の記載のある戸籍が必要になります。

 

また、相続人を確定させる必要がありますので、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍と、相続人の戸籍が必要です。

 

代襲相続が発生している場合には、被代襲者の死亡の記載のある戸籍も必要です。

 

被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍は、取得に時間と手間を要することがあるので、注意が必要です。

 

婚姻などによって新たな戸籍が作られた際、本籍地のある市町村が変わることがあります。

 

このような場合、各市町村に対して戸籍の請求をしなければなりません。

 

戸籍がある市町村が離れている場合には、郵送による請求を行うこともあります。

 

平成29年5月29日以降であれば、戸籍の束に代わり、法定相続情報一覧図というものも使えます。

 

法定相続情報一覧図とは、被相続人(亡くなられた方)の法律で定められた相続関係を一覧にした家系図のようなものです。

 

被相続人の相続人が誰であるかを、法務局の登記官が証明します。

 

一枚で戸籍の束の代わりになりますし、無料で複数枚取得できますので、相続税申告のほか、相続登記や金融機関における預金解約手続きなどを並行して進める際にも便利です。

 

もっとも、法定相続情報一覧図を取得する場合には、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍と、相続人全員の戸籍が必要になります。

相続税7

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今回は、相続税申告における遺産分割協議と遺言の取り扱いです。

 

遺産分割協議や遺言は、誰がどの相続財産を取得するかを記したものです。

 

これにより、それぞれの相続人や受贈者の相続税額が確定します。

 

また、小規模宅地等の特例や、配偶者控除は、遺産分割協議済であるか、または遺言があることが適用要件になっています。

 

そのため、これらの適用を受けようとする場合には、相続税申告書に、遺産分割協議書または遺言書の写しを添付します(遺産分割協議書の場合、相続人全員の印鑑証明書も必要です)。

 

遺産分割協議書を作成する場合、被相続人の財産を調査したうえで、どの相続人が、どの相続財産を取得するか、相続人間で協議したうえで、相続人全員の署名押印が必要となります。

 

各相続人が離れて住んでいる場合などには、遺産分割協議書の作成にも時間がかかることがあります。

 

相続税の申告期限は、被相続人の死亡を知った日から10か月ですので、遺産分割協議書の作成にかかる時間には注意が必要です。

 

遺産分割に争いがあり、相続税の申告期限までに遺産分割協議書の作成ができない場合には、一旦法定相続割合で分割したと仮定して申告をします(未分割申告)。

 

この場合、特例が適用されないため、遺産分割協議がまとまったら、修正申告や更生の請求を行うことになります。

 

もし、相続人間での話し合いだけでは遺産分割ができず、家庭裁判所において調停を行った場合には、遺産分割協議書の代わりに調停調書を用います。

相続税6

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今回は、相続税申告準備における土地の評価についてです。

 

土地の評価は、相続財産の評価の中でも、相当難解な部類に入ります。

 

相続税関連の書籍の中には、土地の評価に特化した書籍もあるくらいです。

 

そのため、ここでは土地の評価の概要について説明します。

 

相続税の申告の際の土地の評価は、大きく分けて、路線価による評価と、倍率による評価があります。

 

まず、国税庁が公開している、評価対象の土地を含む路線価図を参照し、評価対象の土地が路線価が設定されている地域に存在するのか、倍率地域に存在するのかを調べます。

 

路線価が設定されている場合、路線価(1㎡あたりの単価)に、評価対象の土地の面積を乗じて算出した金額が、評価額の基礎となります。

 

この金額に、土地の計上に応じて、間口狭小補正、奥行価格補正、不整形地補正などを施し、評価していきます。

 

また、土地を貸し付けている場合には、路線価図に記載された借地権割合を控除します。

 

倍率地域の場合、固定資産評価額に対して、倍率表に記載された倍率を乗じた金額が評価額になります。

単純に掛け合わせる数字(倍率)が記載されている場合は、簡単に計算ができますが、宅地比準方式という計算方法が記載されていることがあります。

 

これは、対象の土地の1㎡あたりの近傍宅地価格を計算の基礎とするものです。

 

近傍宅地価格は、自治体によっては、固定資産評価証明書の発行の際に申請することで開示してくれます。

 

しかし、開示していない自治体もあります。

 

そのような場合には、自治体の担当部署へ電話連絡をし、近傍宅地価格をヒアリングすることもあります。

相続税5

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今回は、相続税申告準備における、建物の評価についてです。

 

被相続人が建物を所有していた場合、建物は相続財産となります。

 

建物の評価は、相続開始日の属する年度の固定資産評価額が基本となります。

 

固定資産評価額は、固定資産税納税通知書を参照するか、固定資産評価額証明書または名寄帳を取得することで調査可能です。

 

建物が、被相続人の自宅など、自用のものである場合には、固定資産評価額が相続税評価額となります。

 

建物が賃貸物件であり、実際に借家人がいる場合には、固定資産評価額をもとに以下の計算式によって評価額を計算します。

 

建物の固定資産税評価額 × (1 - 借家権割合 × 賃貸割合)

 

賃貸割合は入居率(正確には詳細な計算が必要です)、借家権割合は30%とされています。

 

貸家は、賃貸人側の権利の制約が大きいことから、評価額を下げることができます。

 

被相続人が賃貸物件を所有している場合には、もう一点考慮すべき事項があります。

 

特に一棟のマンションやアパートを所有している場合に多いのですが、付属の施設・設備の評価です。

 

駐車場や、マンションの設備については、固定資産評価証明書等には反映されないことがあります。

 

この場合には、被相続人の過去の確定申告書等を調査し、取得価額、償却額等を計算する必要があります。

相続税4

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今回は現金の評価についてです。

 

被相続人が死亡時点で所持していた現金も、相続財産として申告が必要です(現金の金額が、そのまま評価額になります)。

 

被相続人の現金については、大まかに3つのパターンがありますので、それぞれの対応方針を説明します。

 

 

1 被相続人が所持していた現金が、数万円程度であった場合

被相続人の財布等にのみ現金がある場合などは、このケースに該当することが多いです。

自宅の中に手許現金がある場合も、相続財産として計上します。

 

被相続人の生活の面倒を見ていた相続人が、小口の生活費を預かって管理していた場合にも、相続財産として計上します。

 

 

2 被相続人死亡直前に預貯金を引き出した場合

被相続人の死期が迫った際、死亡直後に発生する葬儀費等を賄うために、予め金銭を銀行等から引き出すことがあります。

 

主な使用目的が葬儀であることから、引き出す金額も数十万円~数百万円であることがあります。

 

これは、被相続人の現金として相続財産に含まれます。

 

葬儀費等に使用したとしても、相続開始時点での現金の金額を、相続税申告の際には計上します(葬儀費は、別途債務として控除できます)。

 

 

3 多額の現金がある場合

被相続人の中には、金銭を預貯金の形ではなく、現金で所持したいと考えている方もいます。

 

また、資産家であった被相続人などにおいては、金融機関と関係が悪くなり、多額の預貯金をすべて引き出して口座を解約してしまうこともあります。

 

このような場合、金庫などに数百万~数千万円の現金が存在するということがあります。

 

多額の現金が存在する場合には、相続税申告の際に、計算の根拠を説明する書面を添付することもあります(いわゆる33条の2書面)。

 

現金は秘匿性が高く、多額である場合は税務署の調査の対象となりやすいためです。

 

そのため、金融機関から引き出した金銭の合計額から、生活や事業等で使用したであろう金額を差し引き、相続開始時点での所持金額が合理的なものである旨の説明をします。

相続税3

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今回は、相続税申告準備における、預貯金の取り扱いについてです。

 

普通預金と、定期預金に分けて説明します。

 

まず、普通預金についてです。

 

普通預金は、相続開始時の残高が、そのまま相続財産の評価額となります。

 

普通預金の相続開始時の残高は、被相続人の通帳を見るか、相続開始時の残高証明書を取得して調べます。

 

もっとも、普通預金を調査する際は、通帳を参照した方が良いです。

 

通帳がない場合には、取引履歴を取得します。

 

その理由は、普通預金通帳には、相続開始時点の預貯金の金額のほか、債権、債務、過去の贈与の情報等が反映されていることがあるためです。

 

また、次回説明しますが、相続財産の中に現金が多く含まれる場合には、その出所を説明するために通帳の履歴を参照するが多くあります。

 

被相続人の預貯金の情報は、相続開始時点の預貯金額だけでなく、他の情報を調査するためにも有用なのです。

 

次に、定期預金についてです。

 

定期預金の残高も、通帳を見るか、残高証明書を取り寄せることで調査ができます。

 

しかし、定期預金には、普通預金には無い、考慮すべき要素があります。

 

それは、既経過利息です。

 

被相続人の生前に利息が支払われてから、次の利息が支払われるまでの間に被相続人が死亡した場合、死亡日までの間に発生していた利息(既経過利息)も相続財産になります。

 

既経過利息は、定期預金の残高証明書を取得した際に反映されていることもあります。

 

しかし、金融機関によっては、残高証明書とは別に既経過利息計算書というものの書面取得申請をしないと取得できないことがありますので、注意が必要です。

相続税2

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弁護士・税理士の鳥光でございます。

 

前回、相続税の基礎控除額のお話をしました。

 

相続財産の評価額が基礎控除額を超えるか否かは、相続税申告が必要であるか否かを判断するうえで、とても重要です。

 

もっとも、相続財産の評価は、単純ではないものもあります。

 

預貯金や現金は、金額がそのまま評価額になりますので、仮に相続財産の大半が預貯金・現金であれば、専門家でなくても評価は難しくありません。

 

不動産については、建物は原則として固定資産評価額となりますので、固定資産評価証明書を取り寄せて参照すれば、評価ができます(収益用マンションなどを持っている場合は、設備等の償却資産が固定資産評価証明書に反映されないこともあるので注意が必要です)。

 

土地の評価は、とても難解です。

 

まず、路線価地域であるか倍率地域であるかで、評価方法が異なります。

 

倍率地域にある場合、原則としては倍率表という表を用いて計算します。

 

路線価地域の場合、路線価と地積を乗じたうえで、各種の補正計算をします。

 

土地が旗竿状であったり、公道に面していないような場合の計算は、さらに複雑になります。

 

株式、投資信託等についても、相続税評価の際には、特有の計算が必要になります。

 

さらに見落としがちなのは、健康保険料等の還付金です。

 

これらは被相続人の債権であることから、相続財産になります。

 

被相続人の相続財産の評価額が、明らかに1000万円にも満たない見通しである場合は、それほど気にすることはありませんが、基礎控除額を超えるか否かが微妙なケースもあります。

 

このような場合、専門家によるシミュレーションを行うことをお勧めします。

相続税1

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弁護士の鳥光でございます。

 

渡しは税理士としても活動しております。

 

弁護士としては、相続をメインの分野のひとつとして活動しています。

 

そして、相続と、相続税とは、とても密接な関係にあります。

 

一定の評価額以上の相続財産が存在する場合、相続税申告が必要になります。

 

相続財産の取得の仕方により、相続税の金額が変わることもあります。

 

また、相続税申告期限までに遺産分割協議が終了しない場合、一旦未分割申告をするという措置が必要になります。

 

相続が発生した場合、相続税の申告・納税が必要であるか否かは、相続人にとってはとても重要なことです。

 

相続税申告・納税の要否を考えるうえで、一番初めに検討すべきことは、相続財産の評価額(正確には、ここから相続債務、葬儀費等を控除した金額)が、基礎控除額を超えているか否か、です。

 

相続財産の評価額が基礎控除を下回っていれば、相続税申告は不要です。

 
平成27年1月1日以降の基礎控除額は、次のとおりです。

 

3000万円+(600万円×法定相続人の数)

 

相続人が3名であれば、4800万円が基礎控除額となります。

 

基礎控除額は、平成26年12月31日以前は、次のとおりでした。

 

5000万円+(1000万円×法定相続人の数)

 

相続人が3名であれば、8000万円が基礎控除額となります。

 

平成26年12月31日以前に相続を経験されている方の中には、基礎控除額が変更されたことをご存じないこともありますので、注意が必要です。

 

前回の相続の際に相続税申告が必要なかったため、今回も必要ないであろう、と考えてしまうと、申告期限を渡過してしまう危険性があります。

 

これを防止するためには、相続が発生したら、一旦は相続税申告が必要か否かを、専門家に相談することをお勧めします。