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弁護士・税理士の鳥光でございます。
今回は現金の評価についてです。
被相続人が死亡時点で所持していた現金も、相続財産として申告が必要です(現金の金額が、そのまま評価額になります)。
被相続人の現金については、大まかに3つのパターンがありますので、それぞれの対応方針を説明します。
1 被相続人が所持していた現金が、数万円程度であった場合
被相続人の財布等にのみ現金がある場合などは、このケースに該当することが多いです。
自宅の中に手許現金がある場合も、相続財産として計上します。
被相続人の生活の面倒を見ていた相続人が、小口の生活費を預かって管理していた場合にも、相続財産として計上します。
2 被相続人死亡直前に預貯金を引き出した場合
被相続人の死期が迫った際、死亡直後に発生する葬儀費等を賄うために、予め金銭を銀行等から引き出すことがあります。
主な使用目的が葬儀であることから、引き出す金額も数十万円~数百万円であることがあります。
これは、被相続人の現金として相続財産に含まれます。
葬儀費等に使用したとしても、相続開始時点での現金の金額を、相続税申告の際には計上します(葬儀費は、別途債務として控除できます)。
3 多額の現金がある場合
被相続人の中には、金銭を預貯金の形ではなく、現金で所持したいと考えている方もいます。
また、資産家であった被相続人などにおいては、金融機関と関係が悪くなり、多額の預貯金をすべて引き出して口座を解約してしまうこともあります。
このような場合、金庫などに数百万~数千万円の現金が存在するということがあります。
多額の現金が存在する場合には、相続税申告の際に、計算の根拠を説明する書面を添付することもあります(いわゆる33条の2書面)。
現金は秘匿性が高く、多額である場合は税務署の調査の対象となりやすいためです。
そのため、金融機関から引き出した金銭の合計額から、生活や事業等で使用したであろう金額を差し引き、相続開始時点での所持金額が合理的なものである旨の説明をします。