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相続財産管理人日誌第10回目となる今回は、預貯金以外の金融資産についてです。
被相続人の預貯金を解約し、相続財産管理人口座へ移行することと、被相続人の株式や投資信託の売却換価・保険の解約返戻金等を受け取ることは、一見似ています。
しかし、相続財産管理人業務としては大きな違いがあります。
預貯金の解約は、相続財産管理人の権限内の行為であるので、裁判所の許可が必要ありません。
一方で、株式や投資信託の売却、保険の解約返戻金等の受け取りは、権限外行為となりますので、裁判所に申立てをしたうえで、許可を得る必要があります。
証券会社や保険会社も、権限外行為許可審判書の提示を求めてきますので、失念する可能性は高くないとは思いますが、預貯金の解約に比べてプロセスが増えることに注意が必要です。
株式や投資信託の売却金を受け取るにあたり、証券会社に口座を作らなければならないことがあります。
この口座に一度入金され、その後で相続財産管理人口座へ送金するという流れになります。
また、保険の解約をし、解約返戻金等を受け取る場合は、保険会社によっては死亡診断書のコピーの提示を求めてきます。
申立人がこれを提供できる場合は良いのですが、そうでない場合は非常に厄介です。
死亡診断書を作成した病院が分かる場合は、その病院にコピーの提供をお願いするということもあります。
しかし、その病院すらわからない場合、被相続人の最後の本籍地を管轄する法務局に対し、死亡届記載事項証明書というものの発行を受けるほかありません。
この死亡届記載事項証明書は、申請すれば発行を受けられるというものではなく、民間の保険を受け取る目的では、原則として発行してもらえません。
そのため、裁判所に状況を説明して上申したうえで、事務連絡というものを発行してもらい、これを法務局に示すという手続きが必要です。
法務局としても極めて例外的な手続きになりますので、これでも死亡届記載事項証明書が発行できないという場合、裁判所からの嘱託によって発行するということもあり得ます。