【相続放棄シリーズ】20 質問状のあれこれ

新年が明け,1月になりました。

 

思えば,コロナウィルスは昨年の1月くらいに話題に上り始め,それからいろいろな面で生活が変わりました。

 

相続放棄シリーズ第20回目の今回は,裁判所から送付されてくる質問状についてです。

 

1 相続放棄申述後の流れ

法律上の相続放棄を行う際には,相続放棄申述書という書類を作成し,戸籍謄本類などの必要書類を添付して,期限内に管轄の裁判所に提出します。

 

なお,申述書を提出して,裁判所で事件番号が付与されれば,原則として期限の問題はなくなります。

 

裁判所によって受付がなされた後,裁判所によって,質問状が送付されます。

 

質問状は,「照会書」や「照会書兼回答書」などの名称が付けられることが多いです。

 

質問状は,送付の仕方や,質問の内容などが裁判所によって区々です。

 

2 送付の仕方

本人が相続放棄の申述を行っている場合,通常は申述書に記載した住所地へ質問状が送られてきます。

 

本人が裁判所へ直接申述書を持ち込む場合,受付の場所で質問状を記入するよう指示されることもあります。

 

裁判所で記入した場合は,特に不備等がなければ,後で質問状が送られることはないです。

 

代理人弁護士が本人の代理として申述を行っている場合は,さらにバリエーションが増えます。

 

代理人弁護士宛ての質問状が代理人事務所に送付される場合,本人宛の質問状が本人の住所地に送付される場合のほか,本人宛の質問状(本人が記入する必要がある)が代理人弁護士の事務所に送付されることもあります。

 

代理人宛ての質問状の場合,郵送の場合もあれば,FAXの場合もあります。

 

また,裁判所によっては,電話照会ということもあります。

 

3 質問状の内容

裁判所が質問状を送付する趣旨は,本人の真意で申述していることの確認,および法定単純承認事由に該当する行為の有無の確認にあると考えられます。

 

質問の内容は,この2点にフォーカスしたものが中心となります。

 

質問の数は,3~5問程度の場合もあれば,10問以上に及ぶ場合もあります。

 

裁判所によって運用が異なることに加え,相続人死亡から3か月以上経過している場合など,イレギュラーな事情があると質問が増えたり,複雑化する傾向があります。

 

代理人弁護士宛てに質問状が発行される場合,経験上は,かなり質問がシンプルです。

 

弁護士が介入していることから,ある程度の信用性が担保されているという前提があるためだと考えられます。

 

なお,弁護士が代理人に就いている場合に限り,質問状を送付しない(つまり質問なし)裁判所もあります。