3月は暖かい日,寒い日,雨の日,風が強い日が入り混じり,天気が安定しません。
外出の際の準備には悩みます。
弁護士法人心東京駅法律事務所で相続案件を担当している鳥光でございます。
相続放棄シリーズ2回目は,相続放棄を検討されている方が非常に悩むことの多い,債権者対応についてでございます。
1 被相続人の債権者
債権者という言葉は専門的なので,具体的にはどのような人を指すかイメージが付きにくいと思います。
わかりやすいものとしては,クレジットカード会社,消費者金融,銀行などがあります。
その他,これら債権者に対して保証金を支払った事業者もいます(求償権の行使)。
保証会社は,消費者金融のように広く一般的に知られていないものですし,求償権の行使は法律構成がやや複雑になりますので,一見すると何を請求されているのか,専門家でないとわかりにくいこともあります。
また,債権者から回収を依頼された弁護士から連絡が来ることもあります(この場合,弁護士はあくまでも代理です)。
さらに,イメージしにくいですが,被相続人が税金を滞納していた場合,市町村等から支払い請求が来ることがあります。
この場合,市町村等も債権者です。
2 債権者からの通知
上記の債権者は,何かしらの形で,お金を支払ってほしいという連絡をします。
ほとんどの場合,書面で連絡があります。
圧着式のハガキや,封筒に,支払いを請求する旨の通知が記載されることが多いです。
たまに,地方などでは銀行の担当者が直接訪問してきて,被相続人負債の話をすることもありますが,最終的には書面を渡される形になります。
宛先は,被相続人になっていることもあれば,相続人になっていることもあります。
被相続人名義で送られる場合は,おそらく債権者が被相続人が亡くなったことを知りません。
つまり,相続人に債務が移っているという認識がありません。
宛先が相続人になっている場合,債権者は被相続人の死亡を知っているとともに,相続人の調査も行っています。
どちらが強いということはないのですが,後者はコストをかけて相続人調査をしているということを考えると,より請求する意思が高いとも考えられます。
3 相続放棄をする場合の債権者対応
① 検討段階
まだ相続放棄をすることを決め切っていない場合や,専門家への依頼を完了していない段階では,とにかく支払いに応じないことが大切です。
支払いに応じないといっても,通常であれば単に債権者からの通知をそのままにしておくだけで済みます。
仮に電話連絡などが来てしまった場合は,相続放棄を検討中であることだけ答えます。
たまに,申述期限が過ぎているからできない,などと言われることもあるようですが,下手に反論しないことが大切です。
② 相続放棄手続段階
実際に裁判所に対し相続放棄申述を行ったり,専門家に相続放棄を依頼した段階になっても,あまりやることは変わりません。
通知書面は基本的に手を付けずにおき,電話連絡等があった場合には相続放棄手続中である旨だけ答えます。
③ 相続放棄完了後
相続放棄が完了すると,裁判所から相続放棄申述受理通知書というものが届きます。
債権者に対しては,この写しを提供します。
通常,債権者側は相続放棄申述受理通知書の写しの提供を受けることで,回収不可能と判断し,その後の請求を止めてくれます。
とはいえ,債権者へ連絡することはとても勇気がいります。
特に債権回収の代理人が弁護士であったりすると,とても連絡がしにくいと思います。
そのような場合,小職は相続放棄完了後に,各債権者に対して債権の状況確認を行ったうえで,相続放棄申述受理通知書の写しを提供し,これ以上請求が起きないようにするサービスも行っております。